玄昌石は、やわらかなグレーの地に細やかな筋が何層にも流れる粘板岩の一種です。一般にはブラックスレートとも呼ばれており、国産のものより海外産の石材が多く市場に出回っています。このページでは、粘板岩に分類されるポルトガル産玄昌石についてご紹介します。
粘板岩の玄昌石は、ポルトガル北部に位置するポルト県のカネラスという町で採掘されています。大西洋に面するポルトは、首都リスボンに次ぐ国内第2の人口を抱えた港湾都市です。ドウロ川北岸に広がる街は、「七つの丘の街」と謳われるリスボンに劣らず、起伏が多い丘陵地帯に築かれています。
ポルトの街には、バロック建築のクレリゴス教会、 かつて要塞として使用されたポルト大聖堂、修道院の跡地に建設されたボルサ宮などが点在する旧市街地を抱えており、「ポルト歴史地区」としてユネスコの世界遺産に登録されています。また世界的サッカークラブチーム・FCポルトが本拠地を置くことでも有名です。
同県のドロウ川の対岸に広がるヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアという都市は、ローマ時代に「ポルトゥス・カーレ」と呼ばれたところであり、この名が現在のポルトガルという国名の由来となったとされています。川沿いにはポートワインの貯蔵庫が立ち並び、多くの観光客で賑わいを見せています。
玄昌石は、グレー地の表面に波のような筋が流れているのが特徴です。汚れが目立ちにくく、経年劣化に強い適正を備えており、くわえて耐薬品性、耐吸水率にも効果をもつ優れた石材です。おもに屋根瓦、床面や壁面などの幅広い用途に対応出来る石材となります。
現在ではポルトガル産の玄昌石(ブラックスレート)が市場に多く流通しています。天然スレートは泥岩などが微弱な変成作用で形成された粘板岩を薄板状に加工・成形したものを言います。これが玄昌石と同等の性質を備えているため、別名ブラックスレートとして市場に多く流通しています。
玄昌石の留意点についてご説明します。
耐薬品性に強い石材となりますが、酸洗い、酸性洗剤のご使用はお避け下さい。
経年劣化の耐性を備えた石材ではありますが、水に濡れた表面が乾燥すると積年の変化により石表面が剥離する場合や、石内部の成分により錆が生じたりするケースが見られます。
天然石のために同じ石材でありながら、色調や紋様にバラつきが生じます。施工の際には、あらかじめ仮並べするなど、全体のバランスに配慮しながら、レイアウトをすることをお勧めします。
おもに住宅の内外壁・門柱・玄関床、アプローチ、屋根材など利用されており、引き締まった色地のために、和風の空間からモダンな空間まで、いずれにもマッチする汎用性の高い石材です。また屋外のアプローチ部分に敷く、乱形石や方形石などにも利用されています。床で使用される場合は専用の濡れ色の撥水剤を塗布することが多いです。
滑らかな肌地を生かして、お茶やお菓子の受け皿、料理を盛る、お皿などにも利用されています。
シックな褐色の地に白系の繊細な波模様が走る玄昌石。太古の地層から採掘された国内外に多くの産地をもつ石材です。シンプルな色地で重厚な雰囲気を与えるために、モダンな空間から和風テイストの空間まで、幅ひろくご利用いただける石材と言えます。