お隣の国、韓国で切り出されている御影石があります。国産の御影石に引けを取らない良質の御影石が古くから採石され日本に輸入されてきました。その中の白御影石、新北(しんぼく)をご紹介します。
大韓民国(通称、韓国)の首都であるソウル特別市のある京畿道(キョンギド、けいぎどう)に御影石の新北の採石場があります。大変古い歴史があり、紀元前からこの地域の中心地として栄えてきました。朝鮮半島のほぼ中央で、北朝鮮と国境を接している地域です。韓国経済の中心地域で、あらゆる産業が活発です。機械や鉄鋼などの重工業、特産の陶磁器や繊維等の軽工業、最近では半導体やソフト関連のIT産業も目覚ましい発展を遂げています。また、黄海に面した所では漁業も盛んで、特産品の「利川米」の栽培や酪農など農業が多くの人口の食卓を支えています。
韓国産の御影石は大体において良質な物が多く採石されています。御影石の新北も色や柄のムラが少なく、吸水率も低めの良い御影石です。石目は小さく緻密な石材で、風化や劣化に比較的強く屋外の使用にも十分耐えうる建材と言えます。砂の様な柄の白御影石で、白とグレーが同じくらいの割合で入っています。よく見かける薄い灰色の御影石の色です。黒雲母の粒子は割と大きめになり、モノトーンの色合いが落ち着いた感じになっています。このような大人しい色柄なので、使う場所を選ばない周りを引き立たせてくれる素材となるでしょう。建材だけでなく、石造品や小物使いもされています。
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
良質と言っても弱点はあります。
花崗岩は様々な構成物質で成り立っています。その中には高温で簡単に溶けてしまう物質があり、そうなると割れたり裂け目ができたりします。炎が当たる場所には使用できません。しかし、この性質を利用した表面加工の方法もあり、適度に高熱を当ててザラつかせた表面にすることがあります。
緻密な石なので化学作用にも強いのですが、天然の石なので高濃度の酸やアルカリ、または、低濃度でも長時間にわたってこのような薬品類が付着すれば劣化してしまいます。鏡面の場合はくもりが出たり、ざらつきが出たり、シミの原因にもなってしまいます。付着した時には速やかに拭き取ってください。
屋内、屋外と様々な所で使われています。
お庭を彩る為の様々な使い方があります。サイコロ状のざっくり切り落としたような石材を多数組み合わせて、花壇の仕切りに使います。色が白っぽいので、花壇の土の色と花々の色を十分に引き立ててくれるでしょう。また、ガーデンテーブルやベンチなどの調度品も作られています。お庭でのひと時を、快適にする手伝いのできる素材となるのではないでしょうか。
御影石の石造品と言えば、昔は灯篭などが多かったのですが、最近ではスタイリッシュでコンパクトな照明器具も作られています。玄関先や、お部屋の雰囲気を柔らかくしてくれます。照明の色も近頃はカラフルな物も多く、新北のモノトーンの色はどんな色を合わせても似合うでしょう。
御影石の新北が産出する地域は、標高が千mを超える山々が多数あります。その山々は花崗岩が多く、気の遠くなるような長い年月の風化作用で「奇岩」と呼ばれる多様な形をした岩が見られます。断崖絶壁に巨大な岩々が張り付いているような、絶景と言うにふさわしい風景の広がる所です。良質の御影石が採石される理由も、このような自然のある所だからではないでしょうか。